ぎっくり腰になると、痛くて動くのがつらいですよね。
とはいうものの、布団から起きたりトイレに行ったりする必要はあります。
こちらの記事では、ぎっくり腰で痛みが強いときの動き方についてご紹介しています。
安静が回復を早めない理由についても、専門家が分かりやすく解説します。
ぎっくり腰になった場合どれくらいで動ける?
一口にぎっくり腰といっても、症状の程度は人によってさまざまです。
一般的には発症から1~2日は強い炎症が見られ、動くのがつらい傾向にあります。
身体を動かし始めるのは、炎症が落ち着く3日目あたりを目安にしましょう。
ぎっくり腰になったときの動き方・起床時
ぎっくり腰になった場合、朝起きるときの動作がつらいものです。
できるだけ痛みを抑えられる起き方を、シチュエーション別にご紹介します。
布団から起き上がる場合
床に布団を敷いて寝ている方は、次のように起きるとよいでしょう。
- あおむけで両ひざを90度に曲げて立てる
- 両ひざをそろえたまま痛くない方にゆっくりと何度か倒す
- 両ひざを完全に倒し、上半身も同じように回転させ横向きになる
- 両手で布団を押しながら胸を張るようにして上半身を起こす
- なるべく腰に力が加わらないよう、しっかりと足で踏ん張って立ち上がる
いきなり起き上がるのではなく、②の動作をしっかりくり返すのがポイントです。
ベッドから起き上がる場合
ぎっくり腰でベッドから起き上がるときは、次のようにするとよいでしょう。
- 横向きになるまでは布団からの起き上がりと同様におこなう
- 両足をベッドから降ろしながら、両手で布団を押してベッドサイドに座る
- 両手でひざを押しながら、しっかりと足で踏ん張って立ち上がる
痛みが出ない角度を探して、ゆっくりと立ち上がりましょう。
支えてくれる方がいる場合
ご家族など支えてくれる方がいる場合は、協力して腰への負担を軽減しましょう。
- あおむけで両ひざを90度に曲げて立てる
- 横向きになるとき、支える方が上半身の回転をサポートする
- 布団に手をついて起き上がる際、肩や頭を支えてあげる
- 支えてくれる方の肩につかまり、しっかりと足で踏ん張って立ち上がる
支える方は肩や頭をサポートするのが基本です。
ぎっくり腰になったときの動き方・立ち上がるとき
ぎっくり腰になった場合、床や椅子から立ち上がるのもつらいですよね。
そんなときは次のように立ちあがると、痛みを軽減する効果が期待できます。
床から立ち上がる場合
床から立ち上がる場合、いったん四つん這いになると腰への負担が少なくなります。
- 両手を横について上半身をゆっくり回転させる
- そのままゆっくりと四つん這いの姿勢になる
- 両手をしっかり伸ばしながら片方のひざを曲げる
- 両足を床につきお尻を高くあげる
- 片手をひざに置き少しずつ上半身を起こす
- 両手をひざに置き上半身を完全に起こす
痛みが出ない角度を探しながら、ゆっくり立ち上がりましょう。
椅子から立ち上がる場合
椅子から立ち上がるときは、次のように立つのがおすすめです。
- なるべく上半身が前後しないように椅子の前まで移動する
- 両ひざを曲げて手は椅子の縁を持つ
- 手で椅子の縁を押しながら、しっかりと足で踏ん張って立ち上がる
腰になるべく力が入らないよう、足の力をしっかり使うのがポイントです。
ぎっくり腰のときは、なるべく椅子に長く座らないようにしましょう。
支えてくれる方がいる場合
- 椅子に浅く腰かけひざを曲げる
- 支える方に手を持ってもらう
- 両足でしっかりと踏ん張って立つ
支えてくれる方がいる場合も、背中を曲げすぎないよう意識しましょう。
ぎっくり腰になったときの動き方・その他の動作
次に、ぎっくり腰になったときの色々な動き方をご紹介します。
毎日のようにおこなう動作なので、痛みが出にくい動き方を知っておくと便利ですよ。
顔を洗うときの動き方
顔を洗う時には、足元の20~30㎝程度の台を置きましょう。
台に片足を乗せ、しっかりと踏ん張りながら上半身を少しずつ前に倒します。
足でしっかりと踏ん張ると、腰にかかる負担が軽減されます。
床の荷物を取るときの動き方
床の荷物を取るとき、上半身を曲げる姿勢は厳禁です。
必ず床にしゃがん荷物を持ち、足でしっかり踏ん張って立ち上がりましょう。
荷物を身体に近い位置でキープするのがポイントです。
靴下を履くときの動き方
腰が痛いときに中腰で靴下を履くのは難しいですよね。
そんなときは椅子に腰かけて靴下を履くようにしましょう。
片足を椅子の縁に乗せ、痛みが出ないよう気を付けながら靴下を履くのがおすすめです。
安静がぎっくり腰の回復を早めない理由
近年の研究で、安静が必ずしもぎっくり腰の回復を早めないと分かってきています。
その理由として、以下のような点があげられています。
患部周辺の筋肉が硬くなる
過度の安静によって患部周辺の筋肉が硬くなると、ぎっくり腰の回復が遅くなります。
筋肉が硬くなると、発痛物質が産生されやすくなるからです。
その結果、ぎっくり腰の痛みも長引いてしまうのです。
筋力が低下する
安静がぎっくり腰の回復を早めない理由として、筋力の低下を招く点もあげられます。
仮に1日寝たきりでいると、全身の筋力が1~3%減少するとされます。
つまり、安静にする期間が長いほど、筋力の低下を招くわけです。
筋力が低下すれば腰を支える力も弱くなり、さらに腰痛が出やすくなります。
血行が悪くなる
血行が悪くなるのも、安静がぎっくり腰の回復を早めない理由です。
血行が悪くなると全身の栄養状態が低下し、身体の回復力も弱くなります。
回復力が弱くなると、ぎっくり腰の症状が長引く結果となります。
ぎっくり腰は正しい動き方で早く改善しましょう
ぎっくり腰になったら、正しい動き方が重要なポイントとなります。
誤った動き方だと痛みがひどくなるだけでなく、症状の回復も遅れてしまいます。
今回ご紹介した点を参考に、痛みが出ない身体の動かし方を覚えておいて下さいね。
発症から3日たったら、無理のない範囲で身体を動かし始めましょう。