ぎっくり腰の原因の1つに脊柱管狭窄症があります。
しかし、脊柱管狭窄症の手術をしてもぎっくり腰をくり返す方がいます。
本記事では脊柱管狭窄症とぎっくり腰との関係について解説します。
脊柱管狭窄症とは
始めに脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)がどのような病気なのか解説します。
神経の通り道が狭くなる病気
脊柱管狭窄症は背骨になる神経の通り道が狭くなる病気です。
中高年に多く見られる病気で、推定患者数は580万人とも言われています。
参考:日本医事新報(4835)
ただし、画像で狭窄が見つかったからといって、必ずしも不調が起こるとは限りません。
原因
脊柱管狭窄症の主な原因は加齢です。
加齢にともない骨が変形すると、神経の通り道が狭くなり狭窄を起こしやすくなります。
また、黄色靭帯の肥厚や椎間板の突出(ヘルニア)により狭窄を起こすこともあります。
主な症状
脊柱管狭窄症の主な症状は足のしびれで、腰痛はそれほど強く出ない傾向にあります。
症状が進行すると歩行障害や、排便・排尿障害が起こることもあります。
しばらく歩くと痛みやしびれが出て、前かがみで休むと楽になる(間欠跛行)ことを繰り返すのも特徴です。
狭窄症狭窄症の手術をしてもぎっくり腰をくり返す3つの理由
ぎっくり腰の原因の1つとして、脊柱管狭窄症があげられています。
しかし、脊柱管狭窄症の手術をしても、ぎっくり腰をくり返す方は少なくありません。
その理由としては以下の3点があげられます。
- 脊柱管狭窄症は腰痛全体の5%程度
- 脊柱管狭窄症の主な症状は足のしびれ
- 画像検査では軟部組織の異常が確認できない
脊柱管狭窄症は腰痛全体の5%程度
腰痛の多くは原因不明とされますが、脊柱管狭窄症が占める割合は全体のおよそ5%に過ぎません。
参考:厚生労働省・腰痛対策
手術が必要となる脊柱管狭窄症となるとさらに少数例です。
確かに脊柱管狭窄症の方がぎっくり腰を発症することはあります。
ただ、ぎっくり腰を発症した方が必ずしも脊柱管狭窄症ではないことは言うまでもありません。
脊柱管狭窄症の主な症状は足のしびれ
脊柱管狭窄症の主な症状は足のしびれで、腰痛はそれほど見られません。
腰痛が見られない疾患がぎっくり腰の原因というのには無理があるでしょう。
脊柱管狭窄症の手術をしてもぎっくり腰をくり返すのは、狭窄以外の原因があるためです。
画像検査では軟部組織の異常が確認できない
脊柱管狭窄症はレントゲンやMRIといった画像検査によって診断名が付けられます。
しかし、画像検査では筋肉や腱、靭帯などの軟部組織の異常は確認できません。
実は、ぎっくり腰の多くが軟部組織の異常によってもたらされます。
手術をしてもぎっくり腰をくり返すのは、軟部組織の異常を取り除いていないためと考えられます。
脊柱管狭窄症やぎっくり腰を予防する3つの方法
脊柱管狭窄症は腰を反らすことで発症リスクが高くなります。
そのため、以下の3つの方法で体幹を安定させることがおすすめです。
坐骨を意識して座る
脊柱管狭窄症やぎっくり腰を予防するには、坐骨を意識して座ることがおすすめです。
特にデスクワークで反り腰になる傾向のある方は、次のような座り方を試してみましょう。
- 椅子の前で中腰の姿勢をとる
- 坐骨を座面に乗せる
- 両手でひざを押しながら上半身をゆっくりと起こす
この座り方だと座ったときに腰が反らないうえに、上半身に無駄な力が入りません。
ぎっくり腰だけでなく肩こりや頭痛などの予防効果も期待できるので、ぜひ取り組んでみましょう。
プランクに取り組む
体幹を安定させて脊柱管狭窄症やぎっくり腰を予防するには、プランクに取り組むことも効果的です。
プランクは以下の手順でおこないましょう。
- ヨガマットや布団の上で、ひざをついた腕立て伏せの姿勢をとる。
- 両ひじをヨガマットや布団につき、両ひざを上げる。
- 肩からつま先までが一直線になるイメージで身体全体を支える。
- 30秒×3セット繰り返す
肘とつま先で身体を支えるときに、腰が反らないよう注意しましょう。
股関節の柔軟性を高める
脊柱管狭窄症やぎっくり腰を予防するには、股関節の柔軟性を高めることが欠かせません。
股関節が硬いと地面からの衝撃が吸収できず、腰に大きな負担が加わるためです。
股関節は以下の手順で緩めることがおすすめです。
- 両足を前後に大きく開いてヨガマットや床に立つ
- 前になった足のひざに両手を置き、上半身をまっすぐおろす
- 左のおなかを張るイメージで気持ちよくストレッチする
このストレッチにより股関節の柔軟性を高めるだけでなく、大腰筋を緩めることが可能です。
大腰筋が緩むと骨盤の前傾が解消されるため、反り腰を改善する結果にもつながります。
脊柱管狭窄症がぎっくり腰の原因とは限りません!
ぎっくり腰は脊柱管狭窄症以外にもさまざまな原因によって起こります。
足のしびれではなく腰痛が主な症状の場合、筋肉や筋膜など軟部組織の異常も疑われます。
病院の治療でまったく改善しない場合には、整骨院や整体院で一度見てもらうとよいでしょう。