ぎっくり腰を発症する方の多くに、お腹の張りが見られます。
実際にぎっくり腰を起こす前に、おへその周りに違和感があったという方は少なくありません。
本記事ではお腹の張りとぎっくり腰の関係、および注意すべき病気について解説します。
ぎっくり腰を起こす方にお腹の張りが見られる主な理由
ぎっくり腰を起こした方の多くに、お腹の張りが見られる主な理由は以下の3つです。
- 腸腰筋が硬くなっている
- 内臓機能が低下している
- 生理痛を併発している
腸腰筋が硬くなっている
ぎっくり腰の方のお腹が張る理由は、腸腰筋が硬くなっているためです。
腸腰筋は腰の骨と股関節を結ぶ筋肉で、前屈や足を上げる動作に関わっています。
腸腰筋は筋膜を介して腸とつながっているため、硬くなるとお腹に張りが生じるのです。
前かがみや足を上げるときにお腹が張る場合、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。
内臓機能が低下している
内臓機能の低下も、ぎっくり腰を起こす方にお腹の張りが見られる理由の1つです。
腸に負担がかかる食生活を続けると、お腹の張りや便秘が起こりやすくなります。
腸は筋膜を介して腰の筋肉と繋がるため、内臓機能が低下すると腰への負担も増すのです。
内臓機能の低下により腰痛が出ることを、専門的に「内臓-体制反射」と呼んでいます。
生理痛を併発している
ぎっくり腰でお腹か張る場合、生理痛を併発している可能性もあります。
ホルモンバランスの変化により腸の蠕動(ぜんどう)が低下すると、お腹の張りが出やすくなります。
生理前に腰痛が出やすい方は、ぎっくり腰にも注意が必要です。
お腹の張りがあるときに疑われる4つの病気
お腹の張りがある場合、以下の4つの病気を発症している可能性も疑われます。
症状の特徴と合わせて解説します。
- PMS
- 大腸がん
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
PMS
月経の3~10日前に腰痛が出る場合、PMS(月経前症候群)の疑いがあります。
腰痛以外に便秘や体重の増加、乳房の張り、イライラ、不安などの症状も見られます。
冷え性の女性や、もともと血行が悪い方は特に注意が必要です。
大腸がん
お腹の張りをともなう病気の1つが大腸がんです。
大腸がんを発症している場合は血便や下血、便秘、下痢などが起こりやすくなります。
腰痛に加えて上記の症状が見られる場合、速やかに専門医の診察を受けましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫もお腹の張りをともなう病気の1つです。
特に漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)を発症すると、腰痛が出やすくなります。
腰痛だけでなく月経過多や貧血、排泄時の痛みがある場合は注意が必要です。
子宮内膜症
お腹の張りをともなう病気としては、子宮内膜症もよく知られています。
PMSの場合とは異なり、月経周期に関係なく腰痛を起こす点が特徴です。
腰痛に加えて血便や血尿、性交時痛、下腹部痛などが見られる場合は注意が必要です。
ぎっくり腰を予防!お腹の張りを解消する簡単な方法3選
腸腰筋の緊張はぎっくり腰だけでなく、生理痛のリスクも高めることが分かっています。
以下の3つの方法で、普段から腸腰筋を柔軟に保つことがおすすめです。
- ストレッチ
- 椅子に座って腸腰筋をマッサージ
- 食習慣の見直し
ストレッチ
腸腰筋の緊張を緩める簡単な方法の1つがストレッチです。
以下の手順で気持ちよく腸腰筋を緩めましょう。
- 両足を前後に軽く開いて立つ
- 両ひざを曲げながら上半身をまっすぐおろす
- 前のひざが床と平行になったら30秒キープ
- 反対側も同様におこなう
③のときに後ろ足を開きすぎないように注意しましょう。
椅子に座って腸腰筋を緩めるマッサージ
腸腰筋を緩めるには、自分でマッサージするのも効果的です。
以下の手順で気持ちよくお腹を緩めましょう。
- 椅子に浅く腰かける
- 骨盤の内側に両手の人差し指から薬指を差し込む(図の青いラインを参考に)
- 背中を曲げないように上半身を前に倒す
- 上半身を倒しながら無理のない範囲で指を深い場所に差し込む
- 30秒×3回繰り返す
最初は感覚がつかめないかもしれませんが、次第にお腹が緩むことを実感できるでしょう。
自分で気持ちよく感じる場所をマッサージすればOKです。
食習慣の見直し
お腹の張りを解消するためには、食習慣の見直しも重要です。
腸への負担を高めるため脂質や糖質、カフェインの過剰な摂取は避けましょう。
また、冷たい物や冷房でお腹を冷やさないことも大切です。
日頃から発酵食品を摂取し、腸内環境を整えることもおすすめです。
お腹の張りを解消してぎっくり腰を予防しましょう
お腹の張りはぎっくり腰を始め、さまざまな不調の前兆と考えられます。
腰痛以外の症状をともなうようであれば、早めに専門医の診察を受けましょう。
ぎっくり腰の予防には、今回紹介したお腹の張りの解消法を実践することがおすすめです。