ぎっくり腰になった方の中には、
「ヘルニアだから手術をしないと治らない」
「何度も繰り返すぎっくり腰に困っている」
方も多いのではないでしょうか。
ともに腰痛が特徴ですが、ぎっくり腰とヘルニアでは何が違うのでしょうか。
ぎっくり腰やヘルニアの治療法や予防法とあわせて専門家が詳しく解説します。
ぎっくり腰とヘルニアの違いとは?
ぎっくり腰とヘルニアとでは、主に次のような違いがあります。
- 病名の違い
- 痛み方や症状の違い
- 治るまでの期間の違い
それぞれについて詳しくみていきましょう
病名の違い
ぎっくり腰とヘルニアとで明らかに異なるのが病名です。
ぎっくり腰は急性腰痛症のこと
ぎっくり腰は医学的に急性腰痛症と呼ばれており、突然のように起こる腰部疾患の総称です。
後述するように、ヘルニアが急性腰痛症の原因となるケースもあります。
ヘルニアは腰椎椎間板ヘルニアが正式名称
腰に見られるヘルニアは、正式名称を腰椎(ようつい)椎間板ヘルニアと言います。
腰の骨と骨の間にある椎間板から髄核(ずいかく)が飛びだす腰部疾患です。
飛び出した髄核が神経を圧迫し、腰痛や足のしびれを引き起こします。
原因の違い
ぎっくり腰の原因は、ハッキリしたことがよく分かっていません。
原因が分からない腰痛のことを、とくに非特異的腰痛と呼んでいます。
ぎっくり腰を始めとする非特異的腰痛は、腰痛全体の8割を占めるとされています。
ヘルニアの場合は、MRIなどの画像検査によって原因が判別可能です。
痛み方や症状の違い
ぎっくり腰の場合、主に腰まわりにズキズキとした激しい痛みを生じるのが特徴です。
ヘルニアの場合は、「気が付いたら痛みやしびれが出ていた」ケースが少なくありません。
いずれも歩行困難をともないますが、ぎっくり腰の場合は痛くて歩けません。
ヘルニアの場合は、足のしびれが原因で歩けなくなる傾向にあります。
痛む場所の違い
ぎっくり腰の場合、腰や背中を中心に痛みが出ます。
ヘルニアの場合は、腰だけでなくお尻や足に痛みが出ることもあります。
どっちが痛いかといわれれば、ぎっくり腰の発症直後がもっとも痛いといえるでしょう。
治るまでの期間の違い
ぎっくり腰は通常、1週間もすれば痛みが緩和し、1ヶ月が過ぎる頃にはほぼ完治します。
ヘルニアの場合は長期化、および慢性化するケースが少なくありません。
ぎっくり腰とヘルニアの関係について
ぎっくり腰とヘルニアには、上記のような違いがあります。
ただ、ぎっくり腰とヘルニアには、次のような関係もあります。
ヘルニアがぎっくり腰の原因の1つ
ぎっくり腰の原因は実にさまざまですが、ヘルニアがぎっくり腰の原因となるケースもあります。
その他の原因としては、腰椎捻挫や脊柱管狭窄症、圧迫骨折などが挙げられます。
要するに、急に激しい腰痛が出た場合、原因にかかわらずぎっくり腰と呼ばれるのです。
ぎっくり腰からヘルニアに移行することも
ぎっくり腰を何度も繰り返していると、ヘルニアに移行するケースもあります。
ぎっくり腰は急性腰痛症のことですが、急性ヘルニアという病気はありません。
腰痛が慢性化している場合、ヘルニアも疑われるというわけです。
ヘルニアは手術をしなければ治らない?
病院や整形外科でヘルニアと診断された方の中には、
「手術をしなければ治らない」
と言われた方もいらっしゃることでしょう。
ただ、手術が必要なケースは全体の数%に過ぎません。
ヘルニアには2つのタイプがある
ヘルニアは神経根型(しんけいこんがた)と馬尾型(ばびがた)の2つに分類されます。
神経根型は軽症例であり、自然に治癒することも珍しくありません。
馬尾型の場合は歩行障害や排便・排尿障害をともなう場合があります。
手術は最後の手段にしよう!
ヘルニアの多くは神経根型であり、保存療法で改善できるケースがほとんどです。
日常生活に支障を来す場合はともかく、手術は最後の手段にするのがおすすめです。
仮に手術をしても、原因を取り除かなければ、何度でもヘルニアは再発します。
判断に困る場合は、整形外科だけでなく、身近な整骨院でも相談するとよいでしょう。
ぎっくり腰やヘルニアの治療法
ぎっくり腰やヘルニアを発症した場合、医療機関では主に次のような治療がおこなわれます。
ブロック注射や痛み止め
ぎっくり腰やヘルニアの痛みが強い場合、ブロック注射や痛み止めによる治療がおこなわれます。
患部に局所麻酔を注入するなどし、痛みを感じなくさせるのが主な目的です。
装具療法
動くときの痛みがある場合、コルセットによる装具療法がおこなわれます。
骨盤まわりを固定することで、痛みが起こる姿勢を避けるのが目的です。
電気療法
低周波や超音波などの電気療法で、症状の回復を早めます。
最近はハイボルトを利用し、痛みを感じにくくさせる治療法も導入されています。
ぎっくり腰やヘルニアの本当の原因とは!
ぎっくり腰やヘルニアの本当の原因は、生活習慣による「腰痛借金」です。
借金が増えて破産するように、腰痛借金がぎっくり腰やヘルニアを引き起こすのです。
腰痛借金の原因としては、不良姿勢や筋緊張、ストレスなどさまざまな要因が挙げられています。
逆に言えば、腰痛借金を返済すれば、ぎっくり腰やヘルニアは予防・改善が可能なのです。
ぎっくり腰やヘルニアの原因となる腰痛借金について、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ぎっくり腰やヘルニアの予防法
ぎっくり腰やヘルニアは、腰に負担が蓄積した結果として発症リスクが高くなります。
仮に手術をしても腰への負担が蓄積すれば、何度でも繰り返してしまいます。
そのため、ぎっくり腰やヘルニアは予防するという発想が必要なのです。
お風呂で身体を温める
ぎっくり腰を予防するには、普段から身体を温め、筋肉を柔軟に保つことが重要です。
ヘルニアの場合も、温めて症状が楽になるようであれば、どんどん温めるようにしましょう。
股関節のストレッチをおこなう
ぎっくり腰やヘルニアの発症リスクを下げるには、股関節のストレッチも有効です。
股関節を柔軟に保つと、腰にかかる負担が軽減されるからです。
ぎっくり腰やヘルニアを予防するストレッチは、以下の記事で詳しくご紹介しています。
身体の使い方を工夫する
身体の使い方を工夫すると、ぎっくり腰やヘルニアのリスクを下げることが可能です。
例えば床に置いた荷物を持つ時は、しゃがんだ状態から下半身の力を利用するようにしましょう。
上半身だけ曲げた状態で荷物を持ち上げると、腰に負担が掛かり過ぎてしまいます。
ぎっくり腰やヘルニアは予防することが重要です!
いったんぎっくり腰やヘルニアを発症すると、治るまでに時間とお金が必要となります。
そのため、日常の生活習慣を見直し、ぎっくり腰やヘルニアを予防することが重要です。
腰痛の多くが原因不明なのは、画像検査では確認できない筋緊張によってもたらされるからです。
そのため、普段から身体を温め、ストレッチで筋肉を柔軟に保ちましょう。
手術は最後の手段として取っておくのがおすすめです。
今回の記事を参考に、ぎっくり腰やヘルニアのお悩みを解消してくださいね。