ぎっくり腰になると痛みのあまり、動くのがつらくなるものです。
ただ適切な動かし方をすると、症状の改善を早めることが期待できます。
こちらの記事では、ぎっくり腰を早く治すための動作を3つご紹介しています。
無理のない範囲で取り組み、早くつらいぎっくり腰とサヨナラしましょう。
ぎっくり腰は安静にした方がいいの?
ぎっくり腰について調べると、安静にした方がよいと書かれていることがあります。
一方、安静にしすぎると回復をさまたげるという見解もあります。
いったいどちらが正しいのでしょうか。
活動性を維持する方が回復を早める
日本腰痛学会などが策定する「腰痛診療ガイドライン」には次のような記述があります。
安静より活動性維持の方が、疼痛軽減と身体機能回復の点で優っている
また病欠の期間も、活動性維持の方が短い
腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版
安静にするよりも無理のない範囲で動いた方が痛みを軽減し、回復を早めるとされています。
つまり、ぎっくり腰を発症したからと言って、安静にする必要はないという訳です。
安静にした方がよいケース
ぎっくり腰で安静にした方がよいのは、痛みのあまりまったく動けないときです。
少し動くだけで激痛が走るようであれば、しばらくは安静にした方が無難です。
痛みがある方を上に横向きで寝て、背中とひざを丸めるようにするとよいでしょう。
坐骨神経痛がある場合は、活動性維持と安静とで差異はないとのことです。
ぎっくり腰を早く治す方法4選
ぎっくり腰になった場合、症状の程度によって次の動作をおこなってみましょう。
無理をする必要はありませんが、安静にしすぎるとかえって回復が遅れてしまいます。
あおむけで寝られる場合
「ぎっくり腰で起き上がるのはつらいけど、あおむけに寝ることはできる」
そんな方にはひざ倒し体操がおすすめです。
- 布団にあおむけで寝て両ひざを立てる
- 両ひざをそろえたまま左右にゆっくりと倒してみる
- 痛みを感じない方へ30秒ほどひざをゆっくり倒す
- ひざを反対側に倒して痛みの変化を確認する
- 痛みが残っていれば③の動作を繰り返す
ひざ倒し体操のポイントは、痛い方にはひざを倒さない点です。
痛くない方にだけひざを倒していると、徐々に反対側も動きやすくなってきます。
四つん這いになれるとき
「ぎっくり腰で歩くのはつらいけど、四つん這いなら大丈夫」
そんな方は、四つん這いで赤ちゃんのようにハイハイしてみましょう。
ポイントは痛みが出ない方向にハイハイする点です。
壁にぶつからないよう、8の字でグルグル回るとよいでしょう。
四つん這いになったとき、腰が反らないように気をつけてください。
椅子に座れる場合
「ぎっくり腰で立つのはつらいけど、椅子に座ることはできる」
そんな方は次のような動作をおこなってみましょう。
- 椅子に座ってどちらのひざが前に出ているか確認する
- 前に出ている方を上にして足を組む
- 上になった方のひざに手を添え、痛みが出ない範囲で左右に揺らす
- 足を下ろして両ひざが揃っているか確認する
- ひざが揃っていなければ③の動作を繰り返す
ひざを揺らすときは、ゆっくりと優しくおこないましょう。
骨盤が傾きやすいデスクワークの方に、とくにおすすめの方法です。
立てる場合
「ぎっくり腰で歩くのはつらいけど、とりあえず立つことはできる」
そんな方は次のようにして歩いてみましょう。
- 左右の骨盤に人差し指から小指を当てる
- 親指の位置に出っ張った骨があるのを確認する
- 皮膚ごと出っ張った骨を押し上げるように上へずらす
- そのまま歩いてみる
椅子から立ち上がるときも、③の動作をすると楽に立つことができます。
動かすとぎっくり腰の痛みが緩和するメカニズム
ここまでぎっくり腰を早く治す方法についてご紹介しました。
それぞれの方法に共通しているのが、仙腸関節の動きを出す点です。
仙腸関節って何?
仙腸関節は骨盤の中央にあり、面積がおよそ17㎠ほどで、3~5㎜の可動域があります。
上半身の体重を支える仙腸関節は、その可動性でクッションの役割を果たしているのです。
仙腸関節の可動域が低下すると、クッション機能が低下し、腰にかかる負担が増大します。
その結果、何かのはずみでぎっくり腰を発症するリスクが高くなるのです。
動かすことで仙腸関節の引っ掛かりを取り除く
先ほど紹介した動作に共通しているのは、仙腸関節の引っ掛かりを取り除く点です。
仙腸関節の可動域が低下すると、引っ掛かりのせいで腰への負担を増すからです。
ほとんどの腰痛の原因は腰にはありません。
仙腸関節の動きが出てくると、自然に腰痛が緩和してくることを実感できるでしょう。
自分に合った動き方でぎっくり腰を早く治しましょう!
ぎっくり腰になったからと言って、安静がよいとは限りません。
むしろ無理のない範囲で動いた方が、かえって症状の回復が早まります。
一口にぎっくり腰と言っても、痛みの程度は人それぞれです。
今回ご紹介した方法を参考に、自分に合った改善法を試してみてください。