ぎっくり腰の多くは病院で検査をしても原因不明とされます。
理由はぎっくり腰の原因が腰ではなく、骨盤にあるケースが多いためです。
しかし、いわゆる「骨盤のゆがみ」は関係ありません。
本記事ではぎっくり腰の本当の原因、および改善法について解説します。
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰は医学的に急性腰痛症と呼ばれるケガの一種です。
突然のように激しい痛みが出るのが特徴で、しばらく動けなくなることもあります。
驚くほど痛いことから「ビックリ腰」と呼ばれていたのがなまったという説もあります。
ぎっくり腰の大部分は原因不明?
ぎっくり腰を発症して場合には、病院や整形外科に行くことが一般的です。
しかし、レントゲンやMRI検査をしても多くの場合は原因不明とされます。
というのも、レントゲンやMRIでは骨や神経の異常しか確認できないためです。
そのため対症療法的にシップや痛み止めなどが出されるわけです。
ぎっくり腰と骨盤のゆがみは関係ない!
ぎっくり腰で整骨院や整体院に行くと、骨盤のゆがみが原因と説明されることがあります。
実際には骨盤自体がゆがむことは医学的にあり得ません。
骨盤を構成する骨は靱帯によって強固に結合されています。
そのため、よほどの外力(交通事故など)がはたらかない限りゆがまないのです。
整骨院などでいわれる「ゆがみ」は、骨盤の「傾き」を意味しているに過ぎません。
ぎっくり腰の原因となる2つの関節
ぎっくり腰を起こす場合、次の2つの関節が硬くなっている傾向にあります。
- 仙腸関節
- 股関節
2つの関節について解説します。
仙腸関節
ぎっくり腰の原因として、近年になり注目されているのが仙腸関節です。
仙腸関節には上半身のバランスを支え、地面からの衝撃を和らげるはたらきがあります。
長く不動関節と思われてきた仙腸関節ですが、わずかながら可動域があると分かってきました。
わずかな可動域(関節の遊び)により、腰への負担を軽減することが可能となるのです。
ぎっくり腰を起こす方の多くに、仙腸関節の可動域の減少が見られます。
股関節
股関節が硬い方も、ぎっくり腰を起こしやすい傾向にあります。
肩関節と並び人体でもっとも可動域の広い関節が股関節です。
股関節を柔軟に動かすことで、腰をはじめ身体の各部にかかる負荷を緩和できます。
そのため、股関節が硬いとぎっくり腰を発症しやすいのです。
ぎっくり腰を予防するストレッチ
ぎっくり腰を予防するためには、仙腸関節と股関節の可動性が重要です。
- 仙腸関節のストレッチ
- 股関節のストレッチ
自宅で簡単にできる2つのストレッチをご紹介します。
仙腸関節のストレッチ
仙腸関節のストレッチは以下の手順でおこないましょう。
- 布団やヨガマットにあおむけで寝る
- 両ひざを90度に曲げて立てる
- ひざをそろえて左右にゆっくりと倒す
- 30秒×3セットおこなう
ストレッチにより徐々に仙腸関節の可動域が広がり、腰にかかる負担が軽減します。
起床時の腰痛がある方は、起きる前のストレッチがおすすめです。
股関節のストレッチ
股関節のストレッチも寝たままできます。
- 布団やヨガマットにうつ伏せで寝る
- 右ひざを90度に曲げて身体の横に出す(平泳ぎのように)
- 30秒たったら反対側も同様に3セットおこなう
ストレッチを終えたら横向きで寝るのがおすすめです。
仙腸関節と股関節が硬くなるのを予防する方法
日常のちょっとした工夫で、仙腸関節と股関節が硬くなるのを予防できます。
- 坐骨で椅子に座る
- 足を組まない
- 大股気味に歩く
3つの方法について解説します。
坐骨で椅子に座る
仙腸関節と股関節が硬くなるのを予防するには、坐骨で椅子に座るのがおすすめです。
仙腸関節が硬くなる原因の1つが、周囲の筋肉の緊張です。
とくにデスクワークで猫背になると、お尻の筋肉が硬くなり関節の可動域減少につながります。
坐骨で座ると骨盤が起き、仙腸関節まわりの筋緊張を予防できます。
足を組まない
仙腸関節と股関節が硬くなるのを予防するには、椅子に座るときに足を組まないことも重要です。
足を組むと股関節まわりが硬くなるだけでなく、姿勢も悪くなるため注意が必要です。
無意識に足を組んでしまう場合は、足に疲労がたまっている可能性もあります。
大股気味に歩く
大股気味に歩くことも、仙腸関節と股関節が硬くなるのを予防する結果につながります。
歩幅を広げることで股関節だけでなく、仙腸関節の可動域を広げる効果が期待できます。
大股気味といっても、いつもよりほんの2、3㎝歩幅を広げる程度で十分です。
簡単なストレッチを続けてぎっくり腰を予防しましょう!
ぎっくり腰の多くは病気ではなく、筋緊張や関節の可動域減少により発症します。
今回ご紹介したストレッチは、寝たままできる簡単な方法ばかりです。
日常的に取り組み、ぎっくり腰を予防しましょう。