ぎっくり腰を発症すると、激しい痛みで動くことが困難となります。
しかし、中にはぎっくり腰のような痛みをともなう内臓の病気もあるため注意が必要です。
本記事では、腰痛が特徴の内臓疾患および病院を受診する目安について解説します。
ぎっくり腰の症状に似た内臓の病気
ぎっくり腰のように腰の痛みをともなう主な内臓の病気は以下の通りです。
- 急性膵炎
- 尿路結石
- 腎盂腎炎
- 急性胃炎
- 子宮内膜症
- 大動脈解離
急性膵炎
ぎっくり腰に似た痛みをともなう内臓の病気の1つが、急性膵炎(きゅうせいすいえん)です。
腰痛を訴えて病院を受診したら、急性膵炎だったという例は少なくありません。
主な症状は腹痛ですが、背部にまで痛みが広がることもあります。
胆石の既往がある方や、お酒をよく飲まれる方も多く見られる病気です。
尿路結石
尿路結石(にょうろけっせき)もぎっくり腰のような症状が出る内臓の病気です。
左右いずれかの腰から背中に、激しい痛みを生じる点が特徴です。
深夜や明け方に急激な痛みが出た場合、尿路結石の可能性も疑われます。
結石ができる原因に関しては現在のところ明らかにされていません。
腎盂腎炎
腎盂腎炎(じんうじんえん)も、腰痛をともなう内臓の病気の1つです。
左右いずれかの腰から背中にかけ、重圧感や痛みを生じることがあります。
若い女性や高齢者に多く見られ、細菌感染が原因となって発症します。
急性胃炎
急性胃炎も腰に痛みを引き起こす可能性がある内臓の病気の1つです。
通常はみぞおちあたりに痛みが生じますが、場合によっては左腰に症状が出ることもあります。
空腹時に痛みが出る場合は、胃潰瘍の可能性もあるため注意が必要です。
急性胃炎の原因はストレスや細菌感染、薬物、アルコールの過剰な摂取などさまざまです。
婦人科系の疾患
女性の場合は婦人科系の疾患により腰痛を発症することがあります。
代表的な病気が子宮内膜症や子宮筋腫です。
婦人科系の疾患による腰痛は、安静にしても痛みが治まらない傾向にあります。
月経時痛や過多月経が見られる女性は注意しましょう。
大動脈解離
大動脈解離(だいどうみゃくかいり)も、腰痛をともなう内臓の病気の1つです。
通常は胸や背中に症状が見られますが、悪化するとお腹や腰にも痛みが生じます。
大動脈解離の原因はさまざまですが、高血圧が特に危険因子とされています。
ぎっくり腰?内臓の病気?病院を受診する目安について
ぎっくり腰か内臓の病気か判断に困る場合、以下の点を目安に病院を受診しましょう。
- 転げまわるほどの痛みが出る
- 姿勢で痛みが変化しない
- 発熱をともなう
- 腰痛以外の症状がある
- 生活習慣病を持っている
転げまわるほどの痛みが出る
転げまわるほどの痛みが腰に出る場合は、可能な限り早く病院を受診しましょう。
特に尿路結石を発症すると、夜間や明け方に激しい痛みが見られます。
急性膵炎の場合も、突き刺すような激しい痛みが生じます。
あまりにも痛みが強烈なときは、内臓の病気の疑いもあることを覚えておきましょう。
安静や姿勢の変化で痛みが変化しない
病院を受診する目安の1つが、安静や姿勢の変化で痛みが変化しないことです。
ぎっくり腰の場合は、横になり膝を抱えると症状が軽減する傾向にあります。
何をしても症状が変化しない場合は、内臓の病気の可能性が疑われます。
発熱をともなう
腰痛に発熱をともなう場合も、病院を受診する目安の1つです。
特に腎盂腎炎を発症した場合、発熱をともなうことが一般的です。
発熱がある場合は整形外科ではなく、まず内科を受診しましょう。
腰痛以外の症状がある
腰痛以外の症状があることも、病院を受診する目安の1つです。
例えば急性胃炎の場合、吐き気や嘔吐をともなうことがあります。
また、腎盂腎炎を発症すると、吐き気や寒気を生じることもあります。
生活習慣病を持っている
もともと生活習慣病をお持ちの方は、病院を受診することがおすすめです。
特に高血圧の方は大動脈解離の発症リスクが高くなるため注意が必要です。
胸や背中に焼けつくような痛みがある場合は、すぐに救急車を手配しましょう。
ぎっくり腰がはじめての方は病院を受診しましょう
ぎっくり腰は原因を取り除かない限り、何度でも発症する可能性があります。
また、内臓の病気にともない腰痛が見られることもあるため注意が必要です。
ぎっくり腰がはじめての方は、内科を受診して検査することがおすすめです。