腰痛の原因が判明!?山口県腰痛スタディとは

原因

2012年に発表された腰痛診療ガイドラインでは、腰痛の8割が不明とされていました。

しかし、2016年に発表された山口県腰痛スタディでは、多くの腰痛の原因が特定されています。

山口県腰痛スタディの概要と問題点について解説します。

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特異的腰痛と非特異的腰痛について

腰痛は大きく特異的腰痛と、非特異的腰痛の2つに分類されます。

腰痛の原因を解説する前に、まずは2種類の腰痛について知っておきましょう。

特異的腰痛とは

特異的腰痛とはのイラスト

特異的腰痛は、簡単に言うと原因が明らかな腰痛です。

レントゲンやMRIで原因が特定出来る場合、特異的腰痛と診断されます。

特異的腰痛の主な割合は以下のとおりです。

  • 腰椎椎間板ヘルニア…4~5%
  • 腰部脊柱管狭窄症…4~5%
  • 圧迫骨折…4%
  • 感染症・ガン…1%
  • 内臓疾患…1%未満

厚生労働省では特異的腰痛を全体のおよそ15%としています。

非特異的腰痛とは

非特異的腰痛とはのイラスト

非特異的腰痛は、レントゲンやMRIなどの検査で原因がわからない腰痛です。

厚生労働省によると、腰痛の85%が非特異的腰痛に分類されます。

たとえば、腰痛を訴えて病院を受診すると、坐骨神経痛といわれる方が少なくありません。

実は、坐骨神経痛は病名ではありません。

腰痛の原因がわからない場合に、症状の総称として坐骨神経痛といわれるケースが多いです。

腰痛の原因が判明!?山口県腰痛スタディとは

腰痛の原因が判明!?山口県腰痛スタディとは

腰痛の85%が原因不明と知り、驚かれた方もいるでしょう。

しかし、2016年発表の山口県腰痛スタディでは、腰痛の多くが原因特定可能とされています。

山口県腰痛スタディでは、純粋な非特異的腰痛は22%に過ぎないとされます。

山口県腰痛スタディにおける主な腰痛の分類は以下のとおりです。

  • 腰部脊柱管狭窄症…およそ11%
  • 腰椎椎間板ヘルニア…およそ7%
  • 腰椎圧迫骨折…3%
  • 感染症…0.3%
  • 一般的な慢性腰痛…およそ57%

先の分類でおよそ15%だった特異的腰痛が、およそ21%に増えています。

さらに、およそ57%の一般的な慢性腰痛が特異的腰痛に加えられていることがわかります。

山口県腰痛スタディの問題点

山口県腰痛スタディの問題点

整形外科の世界で、山口県腰痛スタディは画期的な研究報告とされます。

原因不明の腰痛が85%から22%まで減少したため当然の反応と言えるでしょう。

しかし、山口県腰痛スタディには以下の問題点もあると考えられます。

  • 対象者が少ない
  • 平均年齢が高い
  • 原因が特定されたから改善できるとは限らない
  • 腰痛人口が増加している

それぞれについて解説します。

対象者が少ない

山口県腰痛スタディの問題点として、研究の対象者が少ない点が挙げられます。

山口県腰痛スタディの対象は、県内の整形外科を受診した320名に過ぎません。

腰痛人口が2800万人と言われる中、320名では十分なデータといえません

平均年齢が高い

対象者が少ないのイラスト

山口県腰痛スタディの対象者の平均年齢は55.7歳です。

加齢により腰椎の変成が起こると、原因を特定しやすい傾向にあります。

例えば、特異的腰痛に分類される腰部脊柱管狭窄症は、好発年齢が50歳~80歳です。

高齢者の受診が多ければ、原因を特定しやすいのは当然です。

原因が特定されたから改善できるとは限らない

山口県腰痛スタディにおける特異的腰痛の大半が、一般的な慢性腰痛(およそ57%)です。

一般的な慢性腰痛には以下の例が含まれます。

  • 腰椎椎間関節症…およそ21%
  • 筋筋膜性腰痛…およそ17%
  • 椎間板性腰痛…およそ13%
  • 仙腸関節性腰痛…およそ6%

整形外科医で筋筋膜性腰痛や仙腸関節性腰痛と診断される例が増えたのは朗報と言えます。

しかし、腰痛の原因が筋膜や仙腸関節とわかっても、有効な治療が受けられるかは別問題です。

実際、筋筋膜性腰痛に対しては、シップや痛み止めで対処するケースが少なくありません。

腰痛人口が増加している

国民生活基礎調査によると、腰痛人口(1000人当たりの有訴者率)に以下の変化が見られます。

2017年2022年
男性62.7人92.5人
女性99.5人104.7人

山口県腰痛スタディ発表の翌年から5年間で、男女ともに腰痛人口が大幅に増加しています。

このデータからも、腰痛の原因特定と治せるかどうかは別問題とわかります。

腰痛の本当の原因は?

腰痛の本当の原因は?

山口県腰痛スタディは、多くの慢性腰痛の原因が明らかになった画期的な研究です。

しかし、さらに突き詰めていくと筋筋膜性腰痛や腰椎椎間関節症の原因は何なのでしょうか

腰痛の本当の原因としては以下の例が挙げられます。

  • 誤った身体の使い方
  • 不良姿勢
  • ストレス
  • 疲労の蓄積

つまり、腰痛は日常生活における不良姿勢や疲労の蓄積の結果と考えられます。

慢性腰痛を治す方法は?

慢性腰痛を治す方法は?

改訂版の腰痛診療ガイドラインでは、慢性腰痛に対して運動療法が強く推奨されています

2012年版のガイドラインでは薬物療法を強く推奨していたため、大きな変化と言えるでしょう。

慢性腰痛に関しては、整骨院・接骨院で保険施術が受けられません

シップや痛み止め、電気治療で治らない慢性腰痛は、地域の信頼できる鍼灸院や整体院に相談しましょう。

日常の生活習慣を見直して慢性腰痛を改善しましょう

日常の生活習慣を見直して慢性腰痛を改善しましょう

慢性腰痛の多くは日常の生活習慣に起因します。

そのため、適度な運動や質の高い睡眠、正しい姿勢の維持などが慢性腰痛の改善に欠かせません。

セルフケアで慢性腰痛が改善しない方は、鍼灸院や整体院などで相談するのがおすすめです。

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