【コラム】腰痛の85%は原因不明?結局どこに行けば治るの?

原因

腰痛を訴えて病院で検査をしても原因不明といわれることは少なくありません。

2012年には朝刊紙に「腰痛の8割以上は原因不明」との記事が掲載されたこともあります。

実際、腰痛が治らなくて困っている方は2,000万人以上とも言われています。

では、腰痛がある場合は結局どこで見てもらえばいいのでしょうか

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腰痛の85%が原因不明とされる理由

腰痛の85%が原因不明とされるのは、以下の2つの理由からです。

  • 腰痛診療ガイドライン
  • 画像所見と症状の不一致

腰痛診療ガイドライン

2012年の朝刊紙に「腰痛の8割以上が原因不明」との見出しがありました。

それは、同年の腰痛診療ガイドラインに以下のような記載があったためです。

『下肢症状を伴わない腰痛の場合、その85%では病理学的な診断を正確に行うことは困難である』

引用:腰痛診療ガイドライン2012

そのため、現在でも腰痛の8割以上は原因不明と説明されることがあります。

画像所見と症状の不一致

画像所見と症状の不一致も、腰痛の8割以上が原因不明とされる理由の1つです。

例えば画像検査でヘルニアが見つかったとしても、下肢症状がなければ原因不明とされます。

また、実際に足のしびれがあっても、画像検査で異常がなければ原因不明とされるのです。

参考:非特異的腰痛

ここで注意したい点が、ヘルニア=腰痛とは限らないことです。

腰痛や足のしびれがヘルニアによってもたらされるケースは全体の5%~7%に過ぎません。

原因が明らかになりつつある腰痛

先に紹介した腰痛診療ガイドラインは2019年に改訂されています。

そこでは非特異的腰痛(原因不明の腰痛)の安易な使用に注意する旨が記載されています。

2019年の改訂第2版では、腰痛の原因が以下のように分類されています。

原因                    割合                    
椎間関節22%
筋肉・筋膜18%
椎間板13%
脊柱管狭窄11%
ヘルニア7%
仙腸関節  6%
参照:腰痛診療ガイドライン2019年改訂第2版

表からも分かるように2019年のガイドラインでは、原因不明の腰痛がおよそ2割となっています。

腰痛はなぜ治らない?

長年の研究で、腰痛の原因は少しずつ明らかにされつつあります。

にもかかわらず、腰痛が治らない方はなかなか減らないようです。

その理由として以下の3つがあげられます。

  • 慢性腰痛患者の予後は不良である
  • 対症療法しかおこなわれていない
  • 心理社会的要因を取り除けていない

慢性腰痛患者の予後は不良である

腰痛は大きく急性腰痛(ぎっくり腰)と慢性腰痛の2つに分けられます。

腰痛診療ガイドラインでは、急性腰痛と慢性腰痛を比較して以下のように記載しています。

慢性腰痛患者の自然経過は、急性腰痛に比べて不良である

参照:腰痛診療ガイドライン2019年改訂第2版

上記から分かるように、医師からしても慢性腰痛はなかなか治らないと考えられています。

対症療法しかおこなわれていない

腰痛がなかなか治らない理由の1つが、対症療法しかおこなわれていないためです。

2012年のガイドラインでは以下の薬物療法が推奨(グレードA)されています。

  • 非ステロイド性抗炎症薬
  • アセトアミノフェン
  • 抗不安薬(慢性腰痛の場合)

参考:腰痛診療ガイドライン2012

慢性腰痛に関しては、抗不安薬が推奨されています。

原因不明の腰痛は「気のせい」ということなのでしょうか?

2023年現在でも、腰痛治療の基本が薬物療法である点に変わりありません。

心理社会的要因を取り除けていない

2019年のガイドラインでは、腰痛の原因に関して以下の記載があります。

心理社会的要因は、腰痛を遷延化させる

参照:腰痛診療ガイドライン2019年改訂第2版

たとえば症状回復に対してマイナス思考を持つ人の場合、12週間以上仕事に復帰できない割合がおよそ2倍とされています。

腰痛は結局どこに行けば治るの?

腰痛をどこで治すかは症状および信頼度で決めることがベターでしょう。

  • 明らかな原因や重篤な症状がある場合は整形外科
  • 長期の治療で改善しない場合は信頼のおける施術所

明らかな原因や重篤な症状がある場合は整形外科

腰痛に明らかな原因や以下の重篤な症状がある場合は整形外科を受診しましょう。

  • 両足がしびれる
  • 歩行障害や排便障害が見られる
  • 痛みのために日常生活に支障を来している
  • 腰痛やしびれ以外の症状(吐き気や頭痛、発熱など)をともなう

上記の場合には何らかの病気の可能性もあるため、速やかに専門医の診察を受けましょう。

長期の治療で改善しない場合は信頼のおける施術所

長期の薬物治療やリハビリなどで改善しない場合、信頼できる施術所で見てもらう方法もあります。

先述の通り、慢性腰痛は心理社会的要因により治りにくくなる傾向があります。

  • 痛み止めやシップでは根本から改善する気がしない
  • 3ヶ月も同じ治療を続けているけど改善が見られない
  • このまま腰痛が一生治らないのではないかと不安
  • 説明を聞いてもよく分からない

…そんな不満や悩みをお持ちの方は、整骨院や整体院などで自分に合った「先生」を見つけることがおすすめです。

腰痛の原因を突き止めて根本から改善しましょう

腰痛の原因はさまざまで、画像検査の所見だけがすべてではありません

特に治りにくい慢性腰痛の場合には、信頼できる施術師に見てもらうことが重要です。

子どもの頃に母親にさすってもらうとおなかの痛みが引いた経験はないでしょうか。

腰痛も「この人に見てもらえば大丈夫」という先生を見つけることから始めましょう。

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